生成AIの社内活用が広がる一方で、実務では次のような課題が繰り返し起こります。
- 社内規程・手順書・議事録など、社内ナレッジを踏まえた回答ができない
- もっともらしい誤答が混ざり、現場で安心して使いづらい
- PoCでは動いたが、本番運用で精度が不安定になる
- 文書更新、権限管理、監査対応など、運用面の負荷が読めない
こうした課題に対して現実的な選択肢として広く採用されているのが RAG(Retrieval-Augmented Generation) です。LLMが外部データを検索・参照し、その情報を根拠として回答を生成することで、「根拠」「更新性」「運用性」を確保しやすくなります。
クオンタムAI技術株式会社は、一般社団法人 日本生成AI協会さまのご依頼を受け、「生成AIエンジニア講座|RAG編(全3回)」 の教材(スライド/演習)を作成しました。本記事では、教材の狙いと内容、学び方をまとめます。なお、追ってRAG編の認定試験も開始する予定です。
講座は 無料で視聴 できます。
この教材で目指したこと:概念理解 → 実装 → 実務応用を一気通貫に
RAGは「知識として知る」だけでは、業務導入時に壁が残りがちです。
そこで本教材は、次の3段階を3回でつなぐ構成にしました。
- 全体像を掴む(RAGが向く/向かない、仕組みの整理)
- 最小構成を自分で実装する(検索→コンテキスト付与→回答生成をコードで理解)
- 実務レベルの設計に近づける(日本語前処理、ハイブリッド検索、速度・精度のチューニング)
講座の全体像(全3回)
第1回:RAGの全体像とノーコード体験(Dify)
- RAGの仕組み/ファインチューニングとの違い
- 向く/向かないユースケースを図解で整理
- ノーコードツール「Dify」で社内文書検索RAGを実際に構築・体験
第2回:PythonによるRAG基礎実装(Colab/CPU)
- Embedding、類似度計算、チャンク設計(分割/オーバーラップ)の基本
- ベクトル検索 → コンテキスト付与 → 回答生成をゼロから実装
- 「RAGがどう動くか」をコードレベルで理解
第3回:ハイブリッド検索と高速・高精度なRAG応用実装(Colab/GPU)
- ハイブリッド検索(キーワード×ベクトル)
- Sudachiによる日本語前処理
- 実務を意識した設計・チューニング(速度と精度の両立)
こんな方におすすめ
- 社内文書検索・ナレッジ活用を検討している(まず全体像を掴みたい)
- RAGを触ったが、検索精度が安定しない/設計の勘所を押さえたい
- エンジニアだけでなく、企画・マネジメントとして導入判断の材料が欲しい
- ノーコードで試した後、実装に進みたい(Dify → Pythonの橋渡しが欲しい)
おすすめの受講順
- 第1回で全体像と適用判断を整理
- 第2回で最小構成を自分で組み、精度要因を理解
- 第3回で日本語処理・検索戦略・チューニングを学び、実務に寄せる
無料視聴・教材リンク
■ 講座(QAI-Zen 無料視聴)
https://one-stream.io/catalog/FAdiwHr2FVSmgxaIUA1Sv1eXHCr1/playlist/d3d34320-a6b2-45be-835c-0234793425e8
■ 第1回 スライド
https://docs.google.com/presentation/d/1n2KTrrpRuWaysrD4juzMKfaWcC-GO45fwp3xeyoh5G0/edit?usp=sharing
■ 第2回 スライド
https://docs.google.com/presentation/d/1v8npuWGZdT98Glg4A7z99ior8yb5eIaeOwbjIxf8TqM/edit?usp=sharing
■ 第2回 演習(Colab)
https://colab.research.google.com/drive/16K3S00v5bzMu6E-EeYzNmSXb5BAUxpCP?usp=sharing
■ 第3回 スライド
https://docs.google.com/presentation/d/1CgIkUiUAgraN0I9t-6sh8Ar_CU-XcZcmzWwC0mdrnck/edit?usp=sharing
■ 第3回 演習(Colab)
https://colab.research.google.com/drive/1Mm75_MWMKbyFwmzdYT8oyQzjPUPeXsc5?usp=sharing
次のテーマ:RAGの先にある「機能拡張」と、量子技術×生成AI
RAGは、生成AI活用における重要な“機能拡張”のひとつです。実務では、RAGに加えて AIエージェント や MCP、ガバナンス設計なども含め、段階的に「使える状態」へ整えていくことがポイントになります。
また、当社では 2026年3月に「量子技術×生成AI」をテーマにしたセミナー(実演・デモ付き) も予定しており、量子コンピュータの基礎と現状整理から、生成AI(LLM)との融合による研究開発・ビジネス応用までを俯瞰できる内容として準備を進めています。
本セミナーの詳細(申込方法等)は、別途あらためてご案内します。
ご相談窓口(RAG/生成AI活用/量子×生成AI)
教材は「理解と実装」の入口として設計していますが、実務では文書の種類や要件(権限、更新、監査、運用、コスト)により最適解が変わります。状況に応じて、以下のようなテーマの整理や技術検討をご一緒できます。
- 社内文書検索RAGの設計(チャンク/前処理/検索戦略)
- 精度が出ない・遅いなどの改善(ハイブリッド検索、評価設計 など)
- AIエージェント/MCPを含む、生成AI活用の全体設計
- ガバナンス・運用設計(権限、ログ、更新フロー、品質評価)
- 量子技術×生成AIの活用検討(ユースケース整理、デモ/試作の進め方 など)
お気軽にご相談・お問い合わせください。
https://qait.jp/contact/
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